料理人のみならず、一般の料理好きの間で人気なのが「鉄のフライパン」。まず最初に、鉄製のフライパンを使うメリットを3つ挙げてみます!
- 高温に強く熱伝導に優れているため味よく仕上がる
- 丈夫で長持ち、傷に強い
- 使うほど焦げつきにくくなり、愛着がわく
ステーキやハンバーグ、鶏のソテーなどの肉料理、また野菜炒めには最適で、表はこんがり、中はジューシー!と感動的においしくに仕上がります。
しかし、その良さを知っていても「お手入れが大変そう」「自家用で使うのは自信が無い」そんな方も意外と多いのではないでしょうか?そこで今回はフライパンの正しいお手入れの仕方を紹介します。慣れれば決して面倒なことはなく、使い込むほど愛着がわいてくる…そんなフライパンに育てる、お手入れ方法をご紹介します!
油ならしマニュアル
自家用に購入して使用する前、必ず行うべき作業があります。まずは製品の品質表示を見て、「表面加工」の項目をチェックしてください。鉄のフライパンの表面にはさび止めのため、「クリアー塗装」もしくは「シリコン樹脂塗装」が施されています。クリアー塗装の場合は高温で焼き付けられているため「焼きこみ」をするほかに除去する方法がありませんので、①焼き切りから始めてください。「なんだか大変」と思われるでしょうが、最初のお手入れを怠ると、その後焦げ付きやすい”残念なフライパン”になってしまうのでがんばりましょう!
シリコン樹脂塗装の場合、焼きこみをする必要がなく、食器用洗剤とスポンジで洗ってスグに調理を始められます。※シリコン樹脂塗装は調理するうちに自然に取れていきますが、人体には無害です。体内に入っても吸収されないでそのまま排出されます。
< 用意するもの >
●金ダワシ&クレンザー ●使い古しの油 ●キッチンペーパー
※フライパンに木などの持ち手が付いていない場合、不燃性の鍋つかみ・ミトン
難しいことは一切ありませんので、手順に従って始めていきましょう!
①焼きこみ
赤サビを防止するための黒サビ(酸化被膜)をつくります!
※必ず換気を行って、火傷や火災に注意して作業をおこなってください。
①フライパンをコンロに乗せ、中火にかけます。
②3分ほどで温まりますので、今度は強火にします。
③煙が出てきますが、ひるまずにフライパンの様子を観察してください!加熱により塗装が気化するため、中央部から青みがかった黒色に変色していきます。
④火の当たる位置を少しずつ変えて、まんべんなく青みがかった黒に変色するように動かしてください。煙が出てこなくなったら「焼きこみ完了」のサイン。そのまま火を止めて、五徳の上で冷ましておきます。水などで急激に冷やすと、鉄が変形してしまうこともあるので避けてくださいね。
★この作業をしたまま使わずに長期間放置をすると、サビが出てしまいますので、必ず③油ならしのステップまで行うようにしてください!
②洗浄
金ダワシとクレンザーを使って、焼けた被膜をきれいに取り除きます。鉄のフライパンはフッ素加工などの表面加工がされていないため、手加減は無用。力を入れてゴシゴシこすってもOKです!水で流したら、ふきんで水分をしっかり拭き取ります。
③油ならし
フライパンの前から絶対に離れずに、火災に注意しながら作業をおこなってください。
①フライパンの半分位までたっぷり油を入れ、強火でかすかに白い煙が出るまで熱します。高温になるまでしっかり加熱することが大切です!
②煙が出たらすぐに火を消します。
③あら熱がとれたら廃油ポットに油をあけ、残った油はキッチンペーパーなどを使い「染み込ませるつもり」で、よくふき取ります。フライパンの外側にも、まんべんなく油を塗っておきましょう。これで黒々、ツヤツヤに仕上がりますよ◎
④鉄くさい場合は「油ならし、その2」
さて、最初の油ならしは完了しましたが、使い始めはどうしても”鉄臭さ”が気になる、という敏感な方もいます。そんな時は「野菜くず」を炒めるという油ならしの方法があります。
①熱したフライパンに油を入れ、十分になじませます。(これも廃油でOK)
②玉ねぎの外側の皮や芯、人参の皮やヘタ、キャベツの芯、セロリの葉やネギの青い部分など、香味野菜を中心に野菜くずを用意し、焦げる寸前までよ~く炒めます。
③野菜くずを捨てたら、熱いうちに水のみで洗います。
④再び火にかけて水分をとばしたら、キッチンペーパーなどで薄く油を塗っておけば完璧です。
★この方法で鉄臭さをとることができますので、ぜひお試しください。
普段のお手入れのコツ5か条!
①最初の1ヶ月は、「油返し」を行うべし!
①フライパンを中火にかけて、十分に熱します。
②0.5カップ程度の油を入れ、フライパン全体に油をなじませます。
③そのまま中火で熱し、かすかに煙が出てきたら火を止めます。余分な油をオイルポットに戻したら完了です。再び火をつけて調理をスタートしてください!
★使いこんでいくうち、フライパンに黒くツヤツヤの光沢が出てきたら、油膜が形成された証拠ですので、油返し終了のサインです。
②余熱を十分に、油をしっかりなじませるべし!
フライパンを火にかけて、煙が軽くでるくらい加熱します。そして多めに油を入れて、フライパンの内側にじっくりなじませ、余分な油を戻します。そして再び火にかけ、煙がでるまで”10秒ほど待ってから”食材を入れるようにします。この10秒待つことが、焦げ付きにくくするためのポイントです。使うたびに油をなじませていくためには、「しっかりした油の膜」を作ることが大切で、そのためにも高温になるまでしっかり加熱することが重要なのです。その後、火加減を調節します。
③調理後は熱いうちに、洗剤は使わずに洗うべし!
使用後はなるべく熱いうちに給湯器の湯につけておきましょう。その後、洗剤は使わず、「たわし」や「ささら」のみで洗うようにしてください。せっかく育てた油の膜が、洗剤でとれてしまうのを避けるためです。
また、使用頻度にもよりますが、半年~1年以上しっかり使い込み、油が十分なじんだフライパンならスポンジに含ませた洗剤で洗浄しても油膜がとれることはありませんので、気になる方は洗剤を使ってもよいでしょう。
④完全に乾かしてしまうべし!
水分は鉄の強敵です!洗った後、ふきんなどで水気をしっかりふきとったら、もう一度コンロの火にかけて乾かしてから収納するようにしてください。新規に購入して使用し、10回くらいまでは、キッチンペーパーなどで油を塗ってから保管するようにしましょう。
⑤焦げ付いた場合はお湯につけおき、こするべし!
「焦がしてしまった!」「うっかりサビさせちゃった!」そんな場合も鉄フライパンなら安心!何回失敗しても大丈夫なのです。クレンザーと金属たわしで徹底的にこすって、取り除いてください! それでもいまいちコゲがとれなかった場合は、よく乾かしてからサンドペーパー(100番手程度・荒目/あらめ)で徹底的に磨いてください。
鉄は表面に何も塗装していない素材のため、コーティングがはがれ落ちる心配はありません。その後、良く洗い流してから、再度「焼き込み」をすれば、何度でも玉虫色の酸化皮膜がよみがえります。その後、よく油をなじませてから使用してくださいね。
その他、気を付けたいポイント
●金属製のフライ返しを使う事!
シリコンのへらでは、コゲまでこそげ取ることができません。鉄のフライパンには金属製のヘラを使って、しっかりキャッチしてください!
●鉄のフライパンでは煮たりゆでたりしない!
これは、せっかく作った油の膜がはがれてしまうのを避けるためです。特に使い始めて間もない場合にはやめたほうがよいでしょう。
正しいお手入れ方法を守って、鉄フライパンライフをエンジョイしてくださいね★